機関誌「観光文化」

愛しの富士山 (観光文化 192号)

愛しの富士山 (観光文化 192号) 全文無料公開中

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特集 : 愛しの富士山

 日本一の山・富士山。高さ、美しさ、その雄姿は、古代より日本人から愛され親しまれ、畏敬の念をもってあがめられてもきた。現在、世界文化遺産登録に向けた取り組みも開始され、昨年一月には世界遺産暫定リストに登載された。今号では、信仰の歴史、近代美術史、自然環境、観光交流の視点から、富士山の存在価値とその魅力を紹介する。

発行年月
2008年11月発行
判型・ページ数
B5判・32ページ
価格
定価1,540円(本体1,400円 + 税)

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[巻頭言] 富士山 ときめき 無限大 写真家  ロッキー 田中

 古来より、怒り荒ぶり裾野を広げ、美しく調和する神の山。勇気をくれて志を高め、いつも励ましてくれる無限の大きな存在。富士山は日本人の心情そのものと言ってもよいと思います。何故富士山が古来より神山とされ、かくも日本人の魂を揺さぶるのか。それは奇跡を起こしてくれている事実があるからです。
 日本人の一番好きな富士山は、自分の住んでいる場所から見る富士山です。富士山の見える県に住んでいる人には入院するような病気は少ないともいわれます。新幹線や飛行機から富士山が見えると得した気分になります。山の見える県に育ち、他県に働きに出て、あるいは海外旅行をして帰ってきた時に真っ先に探すのは富士山です。それは日本人のDNAに刻まれています。
 富士山が見えてうれしい! 得した! という気持ちは心の波動を高めます。心が明るくなることで会話も他人への接し方も変わります。ちょっとした出来事も良く受け止めることで事態は好転するし、あれほど悩んでいたことも、いつの間にか通り越していたりします。劇的な幸運ではなく大難を小難に、小難を無難に。それが奇跡です。いわば富士山を身近に感じることで心が軽くなり、自らが好転させていくのだと思います。また、富士山のようになりたいという志も自らを高めることに直結しています。
 人々の富士山に寄せる思い、私はそれを「ときめきの富士」と名付け、天職にすることができました。山岳写真ではなく人々の心に共鳴する富士山、それは浮世絵のような情感に満ちて優しくかつ力強く包み込んでくれる「ときめきの富士」です。
 探していた富士山を見つけ、喜ばれて、いい顔になっていただく、そのご褒美にご飯まで食べさせていただく世界でたった一つの仕事。今私はプロとしての職責を果たせているという実感と感謝に満たされています。

 富士山のお陰
 みんなのお陰
 感謝無限大

掲載内容

巻頭言

富士山 ときめき 無限大 P1 ロッキー田中

特集 愛しの富士山

特集1 富士山世界文化遺産登録を目指して
  ―富士山に育まれた信仰の歴史 P2
清雲俊元
特集2 「富士山の美術」の変容
  ―山梨県立美術館・特別展「富士山―近代に展開した日本の象徴」から P6 平林 彰/和田佐知子
特集3 「観光立県しずおか」の空の玄関口「富士山静岡空港」の開港
  ―静岡県の「観光新時代」に向けて P10
出野 勉
特集4 新しい?たび?を育む国土と社会を創る
  ―「『観光立国』下の『観光』の低迷」を打破するために P16
梅川智也
特集5 富士山の自然の魅力と価値を語り伝える P17 渡辺長敬

◆連載

連載I あの町この町 第30回 赤鬼の見張り
  ―長野県・大町市 P22
池内 紀
連載II 風土燦々(3) 孤島の相撲大会(後編)
  ―島根県隠岐の島町 P28
飯田辰彦
連載III ホスピタリティの手触り 51
  観光と宗教 P30
山口由美
新着図書紹介 P32