- 古書ギャラリー
国際的なスポーツの祭典であるオリンピックは、国際レベルでの旅行需要の創出や観光(ツーリズム)産業への経済波及、国際交流や国際理解の促進等様々な点で観光と深い関わりをもっています。
わが国の国際観光政策は、1890年代より、外貨獲得と国際間の相互理解を主たる目的として、1893年喜賓会、1912年ジャパン・ツーリスト・ビューロー(当財団及び㈱JTBの前身)、1930年国際観光局といった外客誘致・受け入れ組織設立の歴史とともに、インバウンド政策を軸に歩んできました。
国際観光政策の歴史についてオリンピックをからめて振り返るとき興味深いのは、2つのオリンピック(第12回夏季オリンピック東京大会、第5回冬季オリンピック札幌大会)と日本万国博覧会の開催が計画されながら実現に至らなかった1940年と、そこに至る1920年代後半~1930年代の時代です。1940年に集結したこの3つの国際イベントは、明治政府が定めた紀元2600年の記念事業としての位置づけのもと、日中戦争によって国際情勢が悪化する中にあっても、日本のアピールと国際理解を促す絶好の機会として準備が進められながら、いずれも開催中止(返上)あるいは延期というかたちで幻に終わりました。
同時にこの時代は、国際観光局が誕生し、国内においては外国人の受け入れ環境づくりを進め、海外に向けては日本の魅力を発信すべく積極的に宣伝活動を行うなどわが国が国際観光政策に力に注いでいた時代と大きく重なります。
本企画展では、上記国際イベントが招致活動から開催準備へと進められながら幻に終わり、紀元2600年(1940年)を迎えるまでの時代のオリンピック・万博と観光との関わりを紹介します。
なお、今回の展示にあたりまして、「大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国際日本文化研究センター」にご協力をいただきました。
概要
期間 | 2020年4~7月 |
---|---|
場所 | 1F古書ギャラリー |
展示図書一覧 |
|