- 古書ギャラリー
江戸時代にはじまった庶民の旅は、明治以降、昭和初期にかけて、鉄道と出版メディアの発達、旅行団体の組織化などを背景に、旅行の大衆化と近代化が進みました。戦後は、高度経済成長、高速交通網の整備進展、モータリゼーションの発達などにより国民の生活に根づき、旅行に求めるものやそのスタイルはより多様化し今日にいたっています。
本企画展では、<戦前編><戦後編>の2回に分け、旅行が次第に大衆化していくとともに、旅行スタイルが時代の変化のなかでどのように移り変わっていったのか、そのあゆみを紹介します。
コロナ禍にあるこの機会に、観光需要の創出・喚起につながった当時の出来事などをたどりながら、日本の旅行文化史を振り返ってみませんか。
<戦前編概要>
庶民の旅のはじまりは、江戸時代の伊勢参宮(お伊勢参り)にみることができます。明治に入ると、関所が廃止され、庶民は自由に国内を旅行できるようになり、鉄道の発達とともに鉄道旅行が普及していきます。「回遊列車」といった鉄道旅行の商品も登場するようになり、近代的な観光旅行が生まれてきました。
人々の旅行への関心が高まりを受けて、明治30年代には紀行文集が数多く刊行され旅行熱をさらに高めます。大正期から昭和初期には爆発的な山水ブームが、そしてヨーロッパの影響を受けスキー、登山、海水浴などのレクリエーションが生まれていきました。明治後期以降の旅行団体の組織化や旅行雑誌などの登場は、旅行文化の大衆化を促していきました。
昭和の時代に入ると、山水の旅から趣味の旅へ、さらに日本新八景及び国立公園の誕生による新しい風景地の旅へと旅行のテーマも広がっていきますが、戦時色が濃くなりつつあった1930年代後半には、国策旅行が奨励され、享楽的な旅行が抑制されました。
概要
期間 | 2021年10~12月 |
---|---|
場所 | 1F古書ギャラリー |
展示図書一覧 |
|