公益財団法人日本交通公社(以下「JTBF」という。)は、株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)と共同で、「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2022 年度版」と題した調査レポートを発行しました。
調査は、多様化するインバウンド市場において、自治体や事業者がインバウンド施策を実施する際の基礎資料となるデータを広く発信することを目的として、DBJ が2012 年より継続的にアジア・欧米豪 12 地域(欧米豪は 2016 年より調査対象に追加)の海外旅行経験者を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、2015 年からはJTBF と共同で調査を行い、以降、毎年、調査及び調査結果のリリースを行っているものです。
今回の調査は、インバウンド観光が再開しつつある状況下にある外国人旅行者の意向変化を把握するため、2022 年6 月21 日~7 月4 日に実施したものです。調査結果のポイントは以下のとおりです。
(1) | 海外旅行は欧米豪で先行して回復。海外旅行が「興味・関心」段階にあるアジアと既に「計画」段階にある欧米豪では、海外旅行再開の検討状況等に差が生じている。 |
(2) | 海外旅行先として、日本の人気は引き続きトップ。しかしながら、一部の国・地域では人気下降の兆しもみられる。 |
(3) | 日本の強みとして、「食事」「治安」「買い物」「宿泊施設」などが高く評価されている。訪日旅行でアジア、欧米豪ともに重視されているのは、飲食店では「食事の美味しさ」、宿泊施設では「Wi-Fi 環境整備」。「買い物」はアジアを中心に期待が高い。日本の強みを維持しつつ、地域や事業者はウイルス対策、Wi-Fi 整備に引き続き取り組むとともに、円安を追い風に買い物需要の確実な獲得が期待される。 | (4) | コロナ禍で意識が高まったアウトドアアクティビティ及びサステナブルな取り組みについては、それぞれ高い関心が確認できた。訪日旅行中のアウトドアアクティビティへの関心のうち、ウォーキングは国籍を問わず体験ニーズが非常に高い。また、雪、植物、森林、フルーツ、動物、星空、農山漁村等に関する体験ニーズも高く、これらの地域資源を有効活用することが期待される。サステナブルな取り組みについては、高収入層の意識が一層高いことや、地域の特産品購入等、地域の好循環につながる取り組みへの実施意向も高いことが確認できた。 |
我が国の水際対策の大幅緩和による外国人旅行者受け入れの本格的再開にあたり、日本の人気低下の兆しが払拭されるべく、外国人旅行者の体験ニーズへの対応や受入体制整備などが必要とされるが、単独の事業者や自治体のみで実現できることには限界があることから、地域や事業者が連携した魅力向上のための取り組みを期待したい。