調査結果概要
- 今回調査によれば、調査地域全体で日本旅行の人気は引き続きトップとなった。アジア全体では6年連続トップで、前回調査同様、約6割が訪日旅行を希望し、4割が日本旅行を具体的に検討している。また、欧米豪全体では、約4割が訪日旅行を希望し、約2割が日本旅行を具体的に検討しており、前回調査と比較して、いずれもその順位を上げている。特に「具体的に検討している割合」は前回調査と比較して4ポイント上昇し、アメリカに次いで2位となるなど、欧米豪においても日本が旅行先として認知・検討されていることがうかがえる。
- 今回調査においては、日本旅行に対する様々なフェーズ変化の表れがみられる。一点目は、内容により踏み込んだ不満の割合が上昇していることである。「日本旅行での不満」について、「英語の通用度」「母国語の通用度」「旅行代金」といった形式的な項目に対する不満が低下する一方、「自然や風景」「近代的/先進的な建築物」「史跡や歴史的な建築物」など、内容により踏み込んだ不満の割合が上昇しており、このような傾向は欧米豪でより顕著となっている。より深い理解を求めて訪日する外国人旅行者が増加しており、今後、持続的なリピーターの獲得や、さらなる市場拡大のためには、形式的な受け入れ環境の整備だけではなく、見やすさ、回りやすさ、説明の充実など、「より深く理解してもらえるための対応」が求められている。
- 二点目として、「爆買いブームの一段落」も確認された。爆買いブームの中心にいた中国の「日本旅行で体験したいこと」について、「化粧品や医薬品の購入」の割合が前回調査(50%)と比較して、今回調査では38%と大幅に低下した。爆買いのピークアウトは日本各地で言われていることではあるが、今回調査においてデータとしてその傾向が確認できた。
- 三点目は、価格面での二極化の動きである。今回調査では、さらなる市場拡大や持続的なリピーター獲得のための方策を探るべく、「どんなもの/サービスがあれば、日本に行きたい/また行きたいですか?」との自由回答形式による設問を設けた。圧倒的に「価格」に関する回答が多く、「もっと安ければ」など低価格を求める回答が多い一方、「ハイエンドショッピング」や「高級ホテル・スパ」など高級志向を求めるものもあり、日本旅行への意向について価格面で二極化の動きが確認できた。ハイエンド・ローエンド市場双方への対応やマーケット毎の戦略が重要になろう。
- 地方観光地への訪問意向は、アジア・欧米豪ともに約9割に上り、引き続き高い訪問意向がみられる。他方、認知度の高い観光地は、依然としてゴールデンルート上の地名や北海道、沖縄、広島など偏りがあり、ニーズと現実との間にギャップがある。ただし、一部の地方観光地においては認知度の向上がみられ、各地におけるPR活動等の成果もうかがえる。
- 統合型リゾート(IR)への関心は二極化の傾向がみられる。「IRができたら、是非行きたい/機会があれば、行ってみたい」の割合は、タイ、インドネシア、中国、マレーシア、シンガポール、アメリカなどで比較的高い一方、アメリカを除く欧米豪などでは関心が低い。また、カジノで使いたい金額についても地域差がみられる。