平成23年度 観光基礎講座
~動いて感じよう日本 信じよう観光の底力~
(財)日本交通公社による短期集中型講座
この度の東日本大震災におきまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、被災自治体や周辺自治体等をはじめとした関係者の皆様の復興・支援活動へのご尽力につきまして、深く敬意を表します。
当財団は魅力的な観光地づくりとそれを通じた豊かな暮らしの実現を目指して、全国各地で観光振興に関わらせていただいております。この度の震災で被災された東日本にも、観光振興のお手伝いをさせていただいた地域は少なくありません。今こそあらためて、地域における観光の“力”とは何か、どうあるべきか、が問われているのではないかと強く感じています。
観光は多くの産業・分野と広く深い関わりを持ち、観光関係者が取り組むべき課題は多岐にわたり、複合的な考え方が求められます。
本講座は、当財団が旅行・観光の文化的かつ持続的な発展に貢献する公益法人として、観光・地域振興などに新たに従事される自治体や業界の方々の一助となるべく、平成8年度より開講しているもので、今年で16回目を迎えます。
観光をめぐる基礎的な知識の習得はもちろんのこと、専門的な実践ノウハウ、ヒントなどの実用情報も盛り込んだ、観光担当者にとって日々の業務に役立つ講座です。
講義内容はこれまでの経験とノウハウを活かして独自の視点と切り口で構成しています。約30名という少人数制により、講師への質問や参加者同士の意見交換の時間も充実させています。
観光による地域振興を志す皆様のご参加をお待ちしております。
概要
テーマ | ~動いて感じよう日本 信じよう観光の底力~ |
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開催日時 | 2011年6月23日(木)~24日(金) |
会場 | 東京文化会館 4階 中会議室 2 東京都台東区上野公園5-45 JR上野駅 公園口 徒歩1分、地下鉄上野駅 7番出口 徒歩5分 *「ホール」ではなく「楽屋口」よりお入りください |
主催 | 財団法人日本交通公社 |
スケジュール
■6月23日 (木)
10:00 | 開講・オリエンテーション |
10:10 | 講義1 : 今、あらためて考える観光の“底力” 時代とともに旅行者も観光のあり方も変化しています。この講義では、成熟化した社会における消費行動としての旅行を読み解きながら、観光振興に携わる方にまずとらえていただきたい、現代社会における観光とは、について解説します。 そして、地域や人々を元気にする観光の役割とは何か、私たちはどのように取り組むべきか、阪神・淡路大震災の事例なども紹介しながら、観光の“底力”について考えます。 講師:(財)日本交通公社 常務理事 小林 英俊 |
11:40 | 講義2 : 地域が見つける、地域の魅力と商品化 ~ 環白神の取り組みを事例に 「白神山地」と言うとブナの原生林ばかりがイメージされますが、本来の魅力は、その恵みを受けて暮らす人々の中(自然、歴史、文化、生活、産業等)にこそ隠れています。 本講義では、環白神での取り組みを例に、地域住民が多くの関係者と協力・連携しながら、如何に白神らしい素材を発掘し、それらを磨き上げ、深みのある旅行体験(旅行商品)を作り上げてきたのかを、その留意点とともに解説します。 講師:(財)日本交通公社 主任研究員 大隅 一志 |
14:00 | 講義3 : 企業経営と観光地経営は同じだ!?~ 境港市観光協会の取り組みに学ぶ 今や世界遺産の宮島を追い抜き中国地方随一の観光客数(平成22年:372万人)を誇る境港市。NHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』放映などの追い風もありましたが、その成功の裏には15年以上の長きにわたる地道な戦略の積み重ねがあったのです。 本講義では、民間企業ご出身の境港市観光協会長 枡田様から、昭和レトロな町並みに似合う「妖怪」をモチーフとした町の魅力創出についてお話を伺います。ユニークなイベントを次々と仕掛ける企画力、マスコミを積極的に活用する営業努力、広告スポンサーを募り妖怪ブロンズ像を制作するといった発想力など、従来にない経営感覚の町おこしの極意を学びます。 講師:境港市観光協会 会長 桝田 知身 氏 |
15:50 | 意見交換会 (~19:00) ○課題の共有、意見交換ほか ご参加の皆様の地域での取り組みや課題を共有化し、講師や参加者が意見を交換します。17:00からは交流会を開催します(軽食をご用意いたします)。毎年たいへん好評いただいていますので、続けてのご参加をお願いします。 |
■6月24日 (金)
9:30 | 講義4 : 旅行マーケットの最新の動き ~ 大震災からの回復をどう考えるか 地域の観光戦略を考えるには、旅行者の動きを読みニーズを把握する必要があります。本講義では当財団の独自調査レポート『旅行者動向』などをもとに、まず旅行者の動きの変化とこれからのマーケットの捉え方についてお話しします。 さらに東日本大震災や福島原発事故などがもたらした旅行市場への影響、及び、回復の道筋を最新の調査結果をもとに分析し解説します。 講師:(財)日本交通公社 主任研究員 黒須 宏志 |
11:00 | 講義5 : 個性を活かすインバウンド振興とは ~地域の取り組み最前線 観光立国実現の柱の一つとしてインバウンド(訪日外国人旅行)振興への注目が集まり、多くの自治体でもそのための取り組みが大きな関心事となっています。 本講義では、最新のインバウンド関連調査等から見える外国人旅行者の動向などについて概観した上で、当財団が独自に取材した個性的、特徴的な取り組みを展開する自治体(広島県廿日市市、群馬県みなかみ町等)を紹介し、そこから見えてきた地域主体のインバウンド振興策のツボをお話しします。 講師:(財)日本交通公社 主任研究員 守屋 邦彦 |
13:15 | 講義6 : 観光における広域連携の成功の秘訣と課題 ~ 観光圏各地の事例から 全国に広域観光を推進する「観光圏」(観光庁認定)は48地域存在しますが、平成20年度の第一次認定から3年が経ち、広域観光を推進する意義があらためて認識されるとともに、その難しさが明らかになってきました。 本講義では、観光圏制度(観光圏、プラットフォーム等)を概観し、次に宿泊プラン開発、旅行商品化、周遊バス運行等、具体的な事例から、広域連携の成功の秘訣と課題について解説します。事業を進める上で大事なことは、まず地域がどうありたいのか、目標(像)を共有をすることなのです。 講師:(財)日本交通公社 主任研究員 吉澤 清良 |
14:45 | 講義7 : “シマ/集落~島”の魅力を如何に発信するか ~ 奄美の観光と物産ネットワークの試み 奄美群島は有人8島から構成され、各島それぞれが魅力的な素材を有しながらも、群島全体を表す観光資源のアピールや特産品開発・販売が積年の課題となっています。 本講義では、島嶼ならではの合意形成の難しさ(集落(シマ)や島(しま)の相互理解の不足)、職業や立場(観光産業と他の産業従事者)による意識の違いを乗り越えて、地域の関係者をやる気にさせたWG(ワーキンググループ)会議の進め方を紹介します。 続いて全30回にも及ぶその会議から見えてきた、奄美の“人的ネットワークの強さ”に着目した観光や情報発信の取り組み「奄美型アンテナショップ」等についてお話しします。 講師:(財)日本交通公社 研究員 小池 利佳 |
16:00 | 総括(ふりかえり) (財)日本交通公社 常務理事 小林 英俊 |
16:20 | 閉講 |
◆企画・進行:(財)日本交通公社 主任研究員 久保田美穂子
長野県生まれ。当財団で主に温泉地、旅館・ホテルをめぐる旅行マーケットの動向、地域振興のためのセミナー企画に関する業務に携わる。平成16年度より本講座の企画運営を担当
※講義内容・講師は、やむを得ず変更となる場合がございます。
※講演タイトルは仮題です。