国内外のデスティネーション・マネジメントの研究・実践動向を概観した観光文化234号(2017年7月)では、特に2010年代以降、海外の観光研究分野における観光地を捉える概念が「マネジメント」から「ガバナンス」へと移行していることが把握された。これは、行動原理の異なる多様な主体の集合体として捉える必要性がある観光地において、従来の「マネジメント」概念のみでは対応に限界があることが背景として挙げられる。一方、我が国では、自然観光地(保護地域)・ 中山間地域を中心とした観光地におけるガバナンス概念について着目し、実践への展開を模索する動きはあるものの、その取組はまだ緒に就いたばかりの段階である。
本特集では、観光地におけるガバナンス概念について、国内外の研究動向を概観する。その上で、その実践の様子を、国内外の自然観光地(保護地域)・ 中山間地域の事例を通して確認する。