概要
第九話 高速道路料金の割引の影響
こんにちは。(財)日本交通公社の安達です。
3月20日に高速道路の料金割引制度がスタートし、まずは本四高速と東京湾アクアラインで土日祝日の高速道路料金の上限が1,000円になりました。NEXCO西日本によれば、20日からの3連休に広島県や兵庫県(淡路島内)、香川県、愛媛県、徳島県の観光施設を訪れる人が大幅に増加したとのことで、高速道路の料金割引は周辺の観光施設や宿泊施設にとって、来訪客を増加させる大きなチャンスとなりそうです。
◇「家族旅行」と「友人との旅行」、「夫婦旅行」が増加する見通し◇
そこで、(財)日本交通公社では、高速道路料金の割引が、宿泊旅行市場にどのような影響を与えるのかについて3月中旬に全国アンケート調査を行いました(層化多段無作為抽出。有効標本数1,165票)。
高速道路料金の割引率は、曜日や時間帯によって異なるため、「高速道路料金が半額になった場合、どのような宿泊旅行を増やしたいですか」という質問をして、どの層やどの旅行タイプ(同行者タイプ、旅行目的別など)に影響が大きいのかを計ることにしました。
まず、何らかのタイプの旅行を増やすと回答した人は全体の75.3%を占めています。年代別では、夫婦と子供で構成されるファミリー層が多い30代から40代で高い傾向があります。
次に、増やしたい旅行の同行者タイプでは、「家族旅行」との回答がもっとも多く、45.8%と半数近くになりました。「友人との旅行」は18.5%、「夫婦旅行」は17.5%となっています。
当財団の発行している『旅行者動向2008』によりますと、国内宿泊旅行の市場シェアは「家族旅行」が46.2%、「友人との旅行」が21.7%、「夫婦旅行」が23.1%であり、概ね現状の市場シェアの大きさに比例した回答結果になっています。
ただし、「友人との旅行」と「夫婦旅行」の順位が、『旅行者動向2008』の順位と逆転しています。自家用車の有無別に増やしたい旅行タイプをみると、自家用車を持っている人では「友人との旅行」も「夫婦旅行」とも、2割程度の回答率ですが、自家用車を持っていない人では「友人との旅行」が14%なのに対し「夫婦旅行」が5%と低くなっています。これは、高齢夫婦世帯の自家用車保有率の相対的な低さを反映していることに加え、友人との旅行であれば友人の車を「当てにできる」ことなども影響していると思われます。なお、宿泊旅行頻度別にみると、旅行頻度の高い人のほうが「友人との旅行」を増やすとの回答が多いことも分かります。
次に、旅行目的別にみると、「温泉を楽しむ旅行」が36.5%ともっとも高く、「自然を楽しむ旅行」が18.9%、「グルメを楽しむ旅行」と「テーマパークを楽しむ旅行」が16.7%とつづいています。
◇旅行先は京都府が人気に◇
高速道路料金が半額になった場合に訪れたい旅行先についても質問しました。
その結果、「京都府」がもっとも高く31.3%となりました。つづいて、「北海道」が28.0%、「長野県」が22.9%となっています。
居住地別にみますと、「関東地方」では「長野県」、「東海地方」では「京都府」、「近畿地方」では「和歌山県」、「九州地方」では「鹿児島県」がもっとも多くなりました。北海道と九州以外ではすべて京都府がベスト3に入っており、京都府は本州内から満遍なく人気を獲得しているようです。
最後に、私どもでは皆様が日頃感じている旅行市場への疑問や関心のあるテーマなどについてお便りを募集しております。今後の調査設問などに取り上げたいと思いますので宜しくお願い致します。ではまた。
< 安達・塩谷 >
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発注者 | 公益財団法人日本交通公社 |
プロジェクトメンバー | 安達寛朗/塩谷英生 |
実施年度 | 2009年度 |