2019年日本人海外旅行者、初の2,000万人超え
2019年の日本人の海外旅行者数は、1964年に海外渡航が自由化されてから初めて2,000万人を超えました。2015年には、近年急増する訪日外国人旅行者数と日本人海外旅行者数が45年ぶりに逆転したものの、2019年に入ってからの日本人海外旅行者数は毎月前年増が続き、特に、ゴールデンウィーク10連休の影響で4月は22.8%増を記録、11月を除く全ての月で前年同月を上回りました。2017年に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、2020年までに日本人海外旅行者数を2,000万人にするという政府目標が掲げられていましたが、1年前倒しでの目標達成となりました。この背景には、景気の穏やかな回復・安定状況に加えて、観光分野における二国間の協力関係の強化、LCCを含めた海外航空路線の充実など、訪日外国人だけでなく日本人にとっても海外旅行をしやすい環境整備が進んだことが挙げられます。
図1 日本人海外旅行者数と訪日外国人旅行者数の推移
出典:JNTO「訪日外客数、出国日本人数」
海外旅行の今と昔
海外旅行にはどのような特徴があるのでしょうか。そこで、同行者に着目し、海外旅行と国内旅行を比較してみたいと思います。まず、2018年の同行者(下右図)を見ていきましょう。海外旅行・国内旅行ともに「夫婦・カップル旅行」が3割を超え、最大シェアとなっています。国内旅行では次いで「家族旅行」ですが、海外旅行では「友人との旅行」が続きます。このように多少の違いはあるものの、海外旅行と国内旅行では同行者は似たような傾向であることがわかります。
次に、約20年前、1998~1999年の海外旅行と国内旅行の同行者(下左図)を見てみましょう。国内旅行では「家族旅行」が4割強を占めるのに対し、海外旅行では「家族旅行」は3割弱に留まり、かわって「友人との旅行」が3割強で最大シェアとなっていました。行き先が海外か国内かによって同行者の構成比が異なるということは、20年前は、海外旅行と国内旅行は少し違うものとして位置づけられていたと言えるでしょう。
20年前は、海外旅行は国内旅行のライバルではなかったと考えられますが、今は、費用や言語等海外旅行の様々な障壁が当時よりもさらに低くなったことにより、海外旅行も国内旅行のライバルになっている、と言えるのではないでしょうか。
図2 海外旅行・国内旅行における同行者の変化
出典:(公財)日本交通公社「旅行年報2019」、(公財)日本交通公社「旅行者動向2000 ~国内・海外旅行者の意識と行動~」
今回は、海外旅行と国内旅行者の同行者に着目して比較してみました。公益財団法人日本交通公社「旅行年報2019」では、今回の分析にも用いた2018年の調査データを元に、日本人の国内旅行・海外旅行について、それぞれ着地別、マーケットセグメント別の旅行動向を紹介しています。(第Ⅰ編 日本人の旅行市場)。PDF版を公開していますので、ご興味のある方は、ぜひ、ご活用ください。
参考
- 公益財団法人日本交通公社「旅行年報2019」(2019年10月発行)(https://xb069601.xbiz.jp/book/annual-report/annual-report-2019/ )
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