近年、ロングトレイル同士の連携事例が増えています。
最近では、2015年12月、ビバルマン・トラック(西オーストラリア)の公式サイトで、済州オルレ(韓国・済州島)と姉妹提携したことが発表されました。ビバルマン・トラックとしては、ブルース・トレイル(カナダ)に次いで2つ目の姉妹提携、済州オルレとしては、ブルース・トレイル、コッツウォルズ・ウェッジ(イギリス)、スイスの2トレイル、九州オルレ(日本)に次いで4つ目の姉妹提携です。
トレイル同士の連携で、具体的な効果につなげている取組としては、「熊野古道(和歌山県)」と「サンティアゴ巡礼の道(スペイン)」の連携があげられます。
和歌山県は、2015年2月より、スペインのガリシア州と観光交流協定を締結し、熊野古道とサンティアゴ巡礼の道との国際観光共同プロモーション事業を実施しています。
この一環で、熊野古道の押印帳とサンティアゴ巡礼の道のクレデンシャル(巡礼手帳)を共通化し、両道を歩かれた方を「二つの道の巡礼者」として限定の記念ピンバッジをプレゼントしたり、「共通巡礼WEBサイト」で紹介する事業をおこなっています。
各旅行会社においても、熊野古道を歩いた方にサンティアゴ巡礼の道ツアーを、サンティアゴ巡礼の道を歩いた方に熊野古道ツアーを紹介(おすすめ)することで、新たな集客につながっているようです。
両事例は、「お互いのお客様を、お互いに紹介し合う」取組です。先行している熊野古道とサンティアゴ巡礼の道の連携事例では、実際に自分のところのお客様に対して、他方を積極的に紹介することで、お客様が実際に行き交うという「実態」を生んでいます。
昨今、観光地域づくりの取組では「地域連携」という言葉が良く使われます(観光圏、広域周遊ルート、DMO等々)。しかし、中身を伴わずに掛け声倒れになったり、力み過ぎて続かなかったり、いわゆる「共通パンフレット」を作っても期待程の効果が得られなかったりと、費用対効果に疑問をもたれて、「地域連携なんて面倒だ」と、二の足を踏まれる地域も少なくないように感じています。
「共通巡礼手帳」のようなものを作るには一定の費用がかかりますが、「お互いのお客様を、お互いに紹介し合う」こと、例えば、C町のお店にいらしたお客様にはD町のお店もおすすめする、といった窓口対応の改善であれば、かかる費用は窓口人材の育成費用だけです。
こうした取組は、非常に地道(地味)に見えますが、共通パンフレットがあっても、C町のお店でD町のおすすめを聞かれた時に、しっかりとおすすめできなければ、連携の「実態」があるとはいえませんので、むしろ本質的な連携の取組といえるかもしれません。
観光地域づくりにおける「地域連携」を考える上でのヒントにしていただければ幸いです。
参考URL
Bibbulman track Official Web Site / Friend ship trails
https://www.bibbulmuntrack.org.au/news/trailing-around-the-world/friendship-trails
Jeju olle / friend ship trail & Affiliated trail
http://www.jejuolle.org/?mid=91
http://www.jejuolle.org/?mid=92
La Region(プレス記事)
「Galicia y Japón promocionarán conjuntamente los caminos de Santiago y Kumano」
http://www.laregion.es/articulo/galicia/galicia-y-japon-promocionaran-conjuntamente-caminos-santiago-y-kumano/20140531193037472538.html
観光庁 > 観光地域づくり > 日本版DMO > 参考資料
“人育て”から始める観光地域づくり 観光地域づくり人材育成実践ハンドブック2014
http://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000050.html