行ったことのないところに行く派?知っているところにもう一度行く派?
みなさんは旅行先を選ぶときに、行ったことのないところに行く派ですか?それとも、知っているところにもう一度行く派ですか?もちろん、旅行目的や、誰と一緒に行くかによって選び方は異なります。例えば、スキー旅行は毎年行くエリアが決まっているけれど、桜のお花見は毎年行ったことのない地域に行っている、といった方もいるかと思います。毎回行ったことがないところに行きたい!、毎回行ってよかったところに行きたい!という方もいらっしゃるかもしれません。では、日本人の国内宿泊旅行ではどちらのタイプの旅行が多いのでしょうか。
訪問先に来訪経験がある場所が含まれる割合は?
そこで、前回のコラムで紹介した「旅行は“あちこち派”?“じっくり派”?」同様、(公財)日本交通公社「JTBF旅行実態調査2014」を用いて分析を行ってみました。本調査は、2014年に国内宿泊旅行を実施した人を対象としたインターネットによる調査です(標本数:8,987人、トリップ数:20,150件。)
今回は、来訪回数に着目しました【図1】。今回の旅行行程で、全ての訪問先が初来訪だった人を“行ったことのないところに行く派”、訪問が2回目以上の地域があった人を“知っているところにもう一度行く派”と捉えると、行ったことのないところに行く派が2.5割、知っているところにもう一度行く派が7.5割という比率となりました。
図1 今回の旅行行程で、それまでに訪れたことのある地域があったか否か
年代別にみると?
皆さんもお気づきかと思いますが、来訪回数は年齢によって大きく異なることが容易に想像できます。年齢を重ねるにつれ行ったことがある場所は増えていくからです。
そこで、年代別の来訪回数を【図2】に示しました。意外かもしれませんが、10代でも“知っているところにもう一度行く派(6割)”が“行ったことのないところに行く派(4割)”を上回る結果となりました。幼い頃に家族旅行で行ったことがある、家族旅行で毎年同じ場所に行っている、修学旅行等で行ったことがあるなど様々でしょう。その地域について知っている度合いは様々ではありますが、“知っている場所に行く派”の割合が非常に大きいことに改めて驚かされます。
図2 今回の旅行行程で、それまでに訪れたことのある地域があったか否か(来訪回数別)
旅行頻度別にみると?
次に、国内宿泊旅行頻度別の結果をみてみます【図3】。年齢同様、旅行頻度が高まるに従い、来訪経験も高まるという結果となりました。こちらも想像通りの結果なのですが、やはり驚くべきは、「あまり旅行に行かない人」であっても、“知っているところにもう一度行く派(6割)”の割合が、“行ったことのないところに行く派(4割)”を上回ったことです。この結果、みなさんはどのように考えますか?
図3 今回の旅行行程で、それまでに訪れたことのある地域があったか否か(国内宿泊旅行頻度別)
地域側の視点で捉えると
ここまで旅行者側の視点でみてきましたが、地域側の視点で捉えると、観光客に繰り返し訪れてもらえるチャンスがこれほどにあると言い換えることができます。インバウンドが急増している一方で、国内旅行市場は伸び悩んでおり、さらに今後は人口減少の影響を大きく受けることが予想されます。このような状況下においては、今訪れている観光客の方に、もう一度訪れてもらうことが重要になってきます。
ここで、総合満足度別に1年以内の再来訪意向をみると、「大変満足」した人の6割以上が「ぜひまた訪れたい(=大変そう思う)」と思うのに対し、「満足」した人では「ぜひまた訪れたい」という意向が1割強にまで減少していることがわかります【図4】。“知っているところにもう一度行く”ためには、その地域で“大変満足”してもらうことが重要なのです。
図4 総合満足度別にみた1年以内の再来訪意向
参考
公益財団法人日本交通公社「旅行年報」
「旅行年報」では、着地(都道府県)別、マーケットセグメント(同行者×ライフステージ)別の旅行動向や、海外旅行の動向についても紹介しています。(第Ⅰ編 日本人の旅行市場)
本ホームページでPDF版を公開していますので、ご興味のある方は、ぜひ、ご活用ください。