昨年末に仕事で台湾を訪れる機会がありました。私は幼少の一時期台湾(台北)に住んでいたことがあり、その時以来の訪問ということで感慨深いものがありました。今回の台湾訪問で感じたことを、観光地への誘客と関連させながらお伝えしたいと思います。
■発展していた台北
台北に到着し、まずはタクシーや徒歩で台北市街を見ることになりましたが、第一印象は「(昔の遠い記憶ではありますが)こんなに高層ビル多かっただろうか?」というものでした。その後、一時期は世界一の超高層ビルであった台北101(たいぺいいちまるいち)へ。一面市街地が広がる風景を見て台北の発展ぶりに驚きました(スモッグのせいか、あまり綺麗に見えないのが残念な所です)。
私は都市計画を学んできていることもあってか、まち全体を見渡したくなる気持ちが強いですが、やはり旅行で訪れるような場所にはこうした視点場の存在が重要なポイントだと感じています。また、都市部では台北101のような高層ビルが視点場になることが多いですが、国内の小規模な市町村の場合には、周囲の山をどれだけうまく活かすかがポイントなのだろうと思います。
更に、今回は台湾新幹線にも乗ることができました。車体は日本の新幹線を用いていますので、車内にいると日本の新幹線に乗っているのとほとんど同じ感覚ではありますが、今回下車した新竹駅は空港さながらの近代的な建物で、ここでも台湾の発展に驚かされました。
台北101展望台から見る台北市街 |
台北新幹線 |
新竹駅構内 |
■活気あふれる台北の屋台街
夜は台北市内の夜市に出かけました。今回は現地の通訳の方などと一緒だったので、屋台街をはじめ見所を巡りながら、さまざまな食べ物も味わうことができました。ヘビのスープや野生の鳩の甘辛炒めなど日本ではなかなか味わえないものも体験することも出来ました。
また印象的だったのは、現地の通訳の方なども「自分達も久しぶりに来たけど、懐かしいものがいろいろあって楽しい」と言っていたことです。私が日本を訪れた外国人に東京の浅草や柴又などを案内すれば恐らく同じような感覚になるのだろうと思いますが、こうした雑然としつつも活気にあふれ、どこか歴史や懐かしさを感じさせる場所というのは観光地にとって重要な要素と思います。
夜の屋台街 |
屋台の食 |
■まちの”味わい”とは
今回の台湾(台北)訪問では、発展した面と昔ながらの面の両方を見ることが出来ましたが、帰国後にどちらがより観光的な魅力を持つだろうか、と考えたときに私は後者の昔ながらの部分ではないかと思いました。やはり訪れた国や地域の人々が日々生活している空間、また食文化をはじめとした生活文化というのは非常に大きな魅力になると感じます。そして更に言えば、こうした空間、生活文化を紹介できる”人”がこの魅力に大きく影響するものと思います。今回の台北訪問では通訳の方などの案内、説明などの”おもてなし”があったからこそ、より深く台北の魅力を”味わう”ことができました。
つまりまちの”味わい”とは、「生活文化のある空間+紹介する人」によって生み出されているものではないかと思います。国内の様々な地域が観光振興に取り組む中、いかにまちの”味わい”を生み出していけるかが今後の地域の差別化に向けたポイントの一つになるのではないでしょうか。