オンライン座談会【2】…開催日:2020年6月18日
③ 温泉旅館(温泉地)が考えるWith/Postコロナ
(温泉まちづくり研究会 若手意見交換会)

温泉まちづくり研究会は、温泉地が抱える共通の課題について解決の方向性を探り、各地の温泉地の活性化に資することを目的に2008年から活動しています。今回は同研究会の7温泉地(阿寒湖温泉、草津温泉、鳥羽温泉郷、有馬温泉、道後温泉、由布院温泉、黒川温泉)若手メンバーが中心となってwithコロナ、postコロナの温泉旅館と地域のあり方をディスカッションしました。

 

福永 本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。3月頃より国内でも新型コロナウイルス感染者数が増加し、4月から5月にかけては緊急事態宣言が発令され、温泉地の皆様にとっては非常に苦しい時間を過ごされていらっしゃったかと思います。今日は、コロナ禍での温泉地の状況や取り組み、コロナ収束後に向けて考えていらっしゃることなどを共有できればと考えています。
 まず最初に自己紹介と、この2〜3ヶ月の各温泉地の状況についてお話しいただけますでしょうか。
大西 弊社は釧路市に本社を持ち、2室から300室規模まで大小13施設を運営している旅館グループです。
 この2〜3ヶ月の状況ですが、北海道は独自の緊急事態宣言が1ヶ月早く発表されたことに加え、インバウンドの多くを占めていた中国のお客様が減少し、かなり大きな影響を受けました。また、現在も感染者数が恒常的に発生しているとともに、北海道は飛行機を使って来てくださる方が多いこともあって、しばらく苦しい状態が続くかと思われます。弊社の施設は大体、今月から徐々に営業再開をしているところです。
吉川 私どもは三重県内に6軒の宿泊施設とその他事業を展開しております。この2〜3ヶ月はやはり売上が減少しており、先の見えない状況でしたが、6月に入ってからは宿泊施設の稼働を取り戻しているところもあるので、ようやく少しずつですが動き出したことを実感しています。
當谷 私は家族連れに特化した旅館を1軒やっており、4月3日から7月2日まで休業予定です。有馬温泉全体の入り込みとしては、2月は2割、3月は5割、4月は9割以上減っている状況です。最近、少しずつお客さまは戻ってきていまして、平日はまだ少ないですが、土日はまちを歩く人も多いように感じます。私の旅館に関しては7月以降営業を再開しますが、予約はかなり入ってきています。
奥村 私は大和屋本館と大和屋別荘という2館を経営しており、公的立場としては道後温泉旅館協同組合の副理事長という立場です。4月に緊急事態宣言が発令されると、4月18日に道後温泉本館と飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)が松山市の方針で休館しました。旅館としては開けているところもありましたし、全面休館に入っているところもあります。緊急事態宣言の解除直前に、市内の病院でクラスターが発生したため、道後温泉本館の休館期間が延びましたが、ようやく6月19日に飛鳥乃湯泉と併わせて再開することになり、これからかなというところです。
 私の旅館も4月19日から5月いっぱいは休館し、6月は少しずつ再開しているところですが、道後温泉は入り込み客の外国人比率が約5%と低いので、今後の戻りには期待しているところです。
冨永 インバウンドの減少も影響を受けましたが、一番厳しかったのは交通の面です。東京や関西からの飛行機の便数が減少し、由布院に来る特急電車やバスも1日数便という状況でした。
 6月19日からゆふいんの森号をはじめ、福岡からの特急列車が動き出すので、若干は期待していますが、予約状況に関しては、国のGo Toキャンペーンを使おうと思われているお客様が多いと思うので、現状はお盆も含めて予約がそれほど進んでいるわけではなく、様子見が続いている状況です。
武田 黒川温泉には、28か所の温泉の中から好きな温泉を3か所選んで入浴できる入湯手形というものがありますが、4月18日から5月いっぱい、まず湯めぐりの受け入れを中止させていただきました。6月1日から再開したものの、28軒の宿の中で営業を再開しているところが半分くらいで、今月・来月は開けたり閉めたりというところが多いので、完全復活は8月からということにしています。
 予約も少なく、6月も土日は少し入ればいいかなというくらいです。南小国町は、7月から熊本県民向けに1万円で1万5千円分使える〝超〞「観光」商品券を販売するという発表がありましたので、近場からの入り込みが少しは増えるかなというところです。
田村 私は草津温泉で小規模の旅館を経営しており、青年部員として活動しております。一応、次期部長ということになっていますが、総会なども書面決議で実際には引継ぎができていません。
 草津温泉では多くの宿が6月1日から営業を再開していて、同時に群馬県が1人1泊あたり5000円割引になる愛郷ぐんまプロジェクト「泊まって!応援キャンペーン」を行っているため、群馬県内のお客さまが多く来られている状況です。ただ、宿の方も全開でお客様を受け入れられる体制ではなく、うちも実質半分開けて、宿泊容量の半分くらいを受け入れている状態です。しかし、徐々にお客様が戻っているかなという気はしています。

withコロナの温泉地の状況と宿の対応

福永 それでは本題に入っていきたいと思います。3月末からご協力いただきました入込客の動向記録(表1)の中でも地域によってお客様の動向は違った様子が見えましたが、コロナの感染が徐々に拡大する中でのお客様の動向や対応はどのように変わっていったのでしょうか。また、自粛期間に入ってからはお宿自体を休館にされたところも多かったと思いますが、その間にどういったことに取り組まれたのか、従業員の皆さんや取引先への対応をどのようにされたのかなどについてお話いただけますでしょうか。

當谷 有馬温泉は神戸市内にあり、兵庫県と大阪府の間なので、お客さまに来てくださいというのは難しい状況でした。そこで若手4人で、おうちにいながらVRで温泉を楽しめる「有馬温泉湯めぐりVR」を始めました。今は参画施設が8軒になり、さらに草津さんにも紹介して、世界中に配信しました。日本国内より海外の方に多く見ていただき、海外のマスコミにも紹介されました(写真1)。

 また、もともと夏祭りに使う予定だったキッチンカーを飲食店に開放してテイクアウト専門で販売するようにしたところ、町内の方がたくさん買いに来てくださいました。
 有馬で開催された会議に観光庁長官が来ていて、私も参加したのですが、その時に初めてGo Toキャンペーンの話をされたと思います。その時に旅行会社だけでなく、旅館の直接予約も対象にしてほしいと交渉しました。
 また、私の旅館では温泉地ごとのキャラクターと声優が地域を盛り上げようとするプロジェクトである「温泉むすめ」と一番最初に提携しており、先方からクラウドファンディングしないかという提案があったので共同で行ったところ、1日かからずに目標の100万円が集まりました。休館中は、休業補償を100%払って、従業員の雇用は全て確保しています。その子達がボランティアで手伝ってくれて、森の中にお子様用の小さなプールを作っています。有馬では毎年夏に「有馬涼風川座敷」というお祭りをしていますが、何としても実施したいということで調整しています。
吉川 鳥羽温泉郷としては4月から原則的に休館するところが多かったのですが、休業要請が出ていても何軒かは開けざるを得ないところがあり、かなり叩かれているという情報は聞いていました。多分、どの温泉地でも同じような状況が起きていたのかなと思います。
 当館も4軒は4月13日から休業しましたが、全室スイートの高級旅館「THE EARTH」については、お客様がたくさん入られている状況がありましたので、営業していました。しかし、ごく一部、東京などからのお客様で非常にマナーの悪い方がおり、働いている従業員が恐怖を感じるようになったため、20日から休館にしました。
 やはり企業としては営業していきたい気持ちはありますが、従業員を守らなければいけないという面と、地域の目を気にすると営業はできなかったと感じます。ただし、よそで営業を続けているお宿は、ゴールデンウィーク中もずっと満室だったと聞いているので、何が正しかったのかはわかりません。
 コロナの対応についてですが、ありがたいことに雇用調整助成金が出たので、当館も従業員には給料を100%補償しています。ただ、情報が不透明なところが多く、教育訓練についても、大西さんのところでは実施されていたと父から聞いていますが、自治体によって教育訓練の項目が変わってくるので、何度労働局に電話しても、他の自治体とは違う答えが返ってくるというジレンマを感じたことがありました。
 ただ、これをマイナスとして考えるのではなく、今いる従業員達にどういったものを提供できるかに重きを置いて、教育を行っています。うちは本当に生産効率がよくなかったので、マルチ化に挑んでスキルを上げてもらう方向に向かっています。
 取引先などの業者に関してですが、まずは自分のところを守らなければいけないので、取引先にちょっと厳しい案件をぶつけなければいけない場面もありますが、幸いにも雇用調整があるので、「うちはこうするけど、おたくもこの制度を活用して休業したらどうですか」と提案しました。最初のうちはこの助成金制度を知らない企業がすごく多かったので、それを伝えることで、お互いにそんなにロスがないという認識が持てました。
 私は全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(以下、全旅連青年部)に出向していて月1回、常任理事会を行っていますが、集まることができないので、ウェブを使った会議を行っていました。マイナスはたくさんありますが、こういうことを知ることができたきっかけの一つにもなったので、今となってはプラスになった部分もあったのかなと捉えています。
山田 雇用調整助成金は当初、あるけど使いにくい等、色々な声を聞きましたが、現場で活用しようとする際は大変でしたか。
吉川 マニュアルが1週間くらいで変わり、助成の対象も変わっていったので大変でした。社労士さんや労働局の方にもお話は聞いたのですが、厚労省が決めた情報が末端まで届いておらず、何が本当の情報かわからないというのが本音でした。教育訓練に関しても自治体によっては何をやっても通るというところもあれば、はじかれる項目が多いところもあり、このあたりはジレンマを抱えています。今になってようやく緩和されて、色々なものが見えてきています。
山田 熊本地震の時まで、雇用調整助成金は旅館で使うのに制限がかかっていました。今回、旅館業として何か差別されたとか、阻害されたといったようなことは感じましたか。
吉川 差別というのは感じなかったですが、一番最初に雇用調整助成金が出た時の提出資料の作成が大変でした。休みが決まっている工場のようなところはいいですが、24時間365日営業の会社の場合、一人一人、タイムカードから勤務時間を拾わなければいけなかったので。苦労したのは、それくらいでしたかね。
大西 資料をご覧いただきながらお話ししたいと思います。
 阿寒湖温泉の状況ですが、2月に北海道が先駆けて実施した休業要請の時には休業していないところがほとんどでしたが、全国の緊急事態宣言が出てからはほとんどの宿泊施設や商店が休業し、5月にはほとんど売上がなかった状況が続いておりました。
 2004年から私たちは「アイヌ文化で彩られた国際リゾート」というコンセプトを掲げており、その大きなチャレンジだった夜の森をアイヌのデジタルアートで楽しんでもらう「カムイルミナ」というイベントも、今年は残念ながら中止になります。北海道は大通公園の「YOSAKOIソーラン祭」や「さっぽろオータムフェスト」なども全部中止になります。雪まつりも縮小開催が先日発表されましたが、やっていただけるだけでもありがたいと思います。阿寒湖温泉でもカムイルミナの代わりとして、コロナからの回復を祈る、なるべく三密を避けるような水上イベント「カムイへの祈り」を実施しようと町でも動き始めたところです(写真2)。

 インバウンドに頼ってきたところもある北海道マーケットですが、阿寒湖温泉に関しては、もともと世界中から不特定多数のお客様を集めるというよりはアドベンチャーツーリズムといって、環境に対する意識が高く、地域での消費額が高いマーケットに数を絞って誘致していこうという想いで取り組みを進めていました。この考え方はコロナ後においても大きな転換は必要としないかなと思いますので、自然や文化コンテンツをブラッシュアップしていきます。
 皆様の地域でも取り組まれていると思いますが、阿寒湖温泉ではNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構が中心となって私たち民間事業者と一緒に国立公園内でのワーケーションを進めているところです。宿の感染対策については業界団体で共有されているガイドラインを参考にしながら、お客様の導線に沿って、オペレーションの変更をしております。星野リゾートさんで取り組まれていることも参考にさせていただき、こうした動画で案内したりしています。
 少し面白い取り組みとしては、アイヌコタンの若手アーティストにお願いして、アイヌ文様が入ったパーティーションを作ったり、菅官房長官がアイヌ文様のマスクを着けて少し話題になったと思いますが、スタッフにアイヌ文様のマスクを着用してもらったりしています。コロナ対策がかなり長期に渡りそうなので、なるべくお客様に緊張感を与えないような感染対策をしていきたいと思っています。
 北海道が苦しんでいるのはビッフェの問題です。最初に名指しで「ビッフェは避けてください」と言われたことで、業界全体の問題ではありますが、北海道は特に大型施設が多いので、食事提供の変更が容易ではありません。
 また、全国的にもビッフェ好きのお客様が多いという事情もあります。弊社でも考えの分かれるところでしたが、お客様のご意見に立ち戻り、アンケートを取りました(図1)。その結果、感染対策をしたうえでビッフェを楽しんでいただくということが、お客様のニーズに合っているということで、新ビッフェスタイルと銘打ち、トングを使用しないなど新しいビッフェを考えました。現場は大変ですが、大皿と違う表現力が必要になるため、調理のモチベーションが上がっているという声も聞いています。

 先ほど、吉川さんがお話しされたように弊社も研修計画を立てていますが、きちんと始めたのは6月くらいでした。スタッフのモチベーションが下がってしまっていたので、研修にして会社に来て仕事に触れるというだけで、ずいぶん顔つきが変わるということも感じ、よかったなと思います。あとは、オンラインの面談などもしましたが、こういう機会だからこそできた新しい取り組みを色々と学ぶところがありました。
田村 緊急事態宣言が出て、休業するかしないのかは皆さん苦渋の選択を迫られていましたし、行政の指示を仰いで足並みを揃えるのは本当に難しいことだということがわかりました。群馬県からの休業要請をいただいて、休業に踏み切れたというところです。それまでは、ギリギリまで5月の連休のお客様をどうしようというのが、皆さんの悩みだったと思います。
 そういったことも含めて、各お宿が各々の考えですることが正しいも正しくないもなく、常連さんに予約をいただいているから開けるというのも正解だと思いますし、常連さんにもしものことがあったら困るから休業するのもまた正解だと思うので、各々が一つ一つのことをそれぞれ考えられたのが収穫かなと思います。
 withコロナということでは、早い段階から動かれていた有馬のVRも、日頃から交流があったので気にはなっていましたが、有馬さんからお誘いいただいたので、草津から有志で5軒参加させていただきました。コロナが落ち着いた後のインバウンドの宣伝にもなるのかなと思い、参加させていただいて非常にありがたく思っています。
 群馬県も地元に近いお客様からということで、4000円を県、1000円を宿が負担する5000円キャッシュバックの県民割引をやっていました。群馬県はあまり災害もないので、ふっこう割を使った経験もそれほどないと思いますが、ほぼ初めて、大盤振る舞いで実施しています。
 Go Toキャンペーンについては、送客手数料が利益を圧迫しているといった提言を全旅連青年部が国にしているという話も知ってはいましたが、こういったことが群馬県にも伝わっていれば、直販のみを対象とするという形の方がお宿としては助かったのかなという気もしています。そうしたことも今後の課題になっていくのかなと思っています。
 雇用調整助成金に関しては、うちは小規模旅館なので従業員は他に本業があり、忙しい時にパートやアルバイトで来る方がほとんどなので、お見舞金といった形で出しました。
奥村 道後温泉については5月オープン予定だった旅館の開業が7月に延期されたり、一部、夕食をビッフェに切り替えたところもあり、全体としては大きな打撃を受ましたが、緊急事態宣言と同時に道後温泉本館と飛鳥乃湯泉が休館した後は、宿泊施設も休業するところは休業するという形で、あまりばらつきが目立つ感じではありませんでした。ようやく明日、県をまたいだ移動自粛が解除され、道後温泉本館も再開しますが、愛媛県は1人1泊あたり6000円以上の県内宿泊旅行を予約した場合に、5000円を割引する「県内宿泊割引キャンペーン」を実施しますが、もうかなり予約が入っているようです。
 また、宿泊客でPayPayを使って支払いをする人には1人1000円をキャッシュバックするというキャンペーンも7月1日から実施します。1000円のうち30%(333円)は宿の負担で、子どもが泊まった場合はさらに1000円キャッシュバックされますが、その部分の宿の負担はなしという形になっています。
 私としては松山市産業経済部や商店街の理事長と話をしたり、市内のビジネスホテルともコミュニケーションを図り、税金を投入するにあたって、市民や県民の皆さんの納得感が得られるように気をつけながら進めているところです。
 自分の宿については、ガイドラインに沿って丁寧に対応していくということと、もともと変える予定にしていた予約システムの導入と訓練に費やすことができたので、不幸中の幸いといったこともあるかと思います。
 雇用調整助成金については、私どもはかなり前から、パートでも長く働いて下さっている方には雇用保険をかけていたので正社員で100%、パートさんでも雇用保険に入っている方にはかなりの割合の額をお支払いしました。制度が非常に複雑ということで、従来給与計算などでお願いしている社労士ではなく、国や官庁の情報が入手できるような方にもお手伝いいただきました。
 しかし、実際には、いわゆる恒常労働ではなく、かつ事前計画にもない雇用調整助成金を出すということに労働局の事務が追い付けない、対応できないという状況が見てとれました。今後、サービス業のいわゆるシフト制に対してどのような助成の仕方をするのか、そもそもそういったことを前提として出勤管理をデジタル化しているとすれば、それらを簡単に拾える仕組みができるといいのかと思います。
福永 奥村さんのお宿では年末から、顔認証による入退室管理システムの実証実験をされていたかと思いますが、そのお話をご紹介いただけますか。
奥村 私が実家の旅館に戻って7〜8年になりますが、デジタル化が遅れていたので、システム会社さんと連携して、チェックイン・チェックアウト時の顔認証システムの導入を実験しました。入口にカメラがあると監視されているような雰囲気になってしまうということで、カメラを内蔵したドアを作り、不自由がなかったか、くつろぎに来たのに雰囲気が壊れなかったかというアンケートに協力していただくことを条件に、通常より3割ほど安くした宿泊プランを販売しました。Bluetoothによる無線の解錠システムを使っていて、不具合もあったりしましたが、有線でも必ずしも全てうまく動く訳ではないようです。うちはフロントの受付から、部屋の開閉まで成立しているということで取材もされましたが、まだ実験段階なので、今後も進めていくかは検討中です。
福永 今回のコロナを受けて、道後温泉の他のお宿さんの関心は高まりそうですか。
奥村 高まると思います。キーレスについては静脈、指紋、虹彩など色々な方法がありますが、顔認証は非接触が成立するので、コロナ禍のニーズに合致すると思います。
冨永 大分県旅館ホテル生活衛生同業組合から全県に対して休業要請が来たのですが、補償が伴わないために色々な苦情もあったようで、由布院としては自己判断でお願いしますと言いました。宿も商店も時間ができたので、由布院は観光地ではなく保養温泉地であるということをもう一度認識するため、みんなでたくさん花を植えました(写真3)。

 また、感染拡大の防止対策を徹底することが何よりも安心安全のPRになるのではないかということで、感染拡大防止対策マニュアルを作った他、旅館組合でマスクや消毒液や客室内の噴霧器などを一括購入して各旅館に安く提供するといったことをしています。
 金融機関の融資や雇用調整助成金はわかりづらいという声も非常に多かったので、旅館組合主催で、説明会・個別相談会を何度も行ってきました。
 なお、今年に関しては、95軒の旅館組合員、300軒の観光協会員から組合費や協会費をいただくのは難しいと思っています。ただ、そうすると行政からの補助金はまったくいただかずに運営している我々は事務運営ができなくなってしまいます。今後、Go Toキャンペーンをはじめとした事業を実施するとなると、その窓口となる地元の旅館組合や観光協会などに負担がかかることになります。事務所の経営も難しい、人件費も削らなければいけない中での負担増に対して、しっかりと補助をしてほしいという要望を国も含めて強く訴えています。そういう地域の核となる組織がしっかり機能しなければ末端の組合員、協会員にも影響が及ぶことになります。
 最低限の事務所の家賃と人件費しか払えませんので、組合費や協会費で運営している来期の牛喰い絶叫大会、ゆふいん音楽祭や湯布院映画祭は実施できないということを明確にお伝えしました。
 今まで由布院温泉旅館組合と由布院温泉観光協会はそれぞれ事務所を持って運営していましたが、5月から由布院駅前に合同事務所を設置し、ひとつ屋根の下で事務局運営をしています。
 また、草津や道後でも導入されていた応援割ですが、大分県も「大分県民向け旅館ホテル応援割」として実施しました。6000万円の予算で1万2千泊分出ましたが、6月1日に発売を開始して1時間で全て売り切れました。ただ問題は、特定のOTA経由の予約のみが対象で、そこに加盟協力していない小規模旅館は利用できないということでした。また、組合に加盟していないと利用できない等、色々と制約があり、一瞬で売り切れましたが、効果については疑問があります。大分県は予算も倍増して第2弾をやるというので、その際には十分この問題を考慮してほしいとお願いをしています。
 将来的なことでは、由布院町内の特産品を集めたオンラインショップや、未来の宿泊券などを検討中です。膝をつき合わせて飲んでなんぼの町ですから、何よりも辛かったのは、仲間と会えない、飲めないということでした。それが一番、勢いを止める要因になったのではないかと思っています。
武田 組合としては、町から話し合いの場に呼ばれることが多いのですが、町からは4月下旬から6月15日までの間に30日間休んだら、1事業所につき100万円を補助するという提案がありました。黒川温泉も休業するところが増えてきて、4月は半分以上が休業し、5月はほぼ全て休業していた感じです。先ほど言ったように熊本県民に1万円で1万5000円の券を発売しますし、6月1日にはまず町民の方たちにお金を使ってもらおうと、1万円で1万5000円分になる〝超〞プレミアム商品券を発行したので、それがこれから動くかなというところです。
 また、お客さんが減ったので、組合では手が空いている人たちで看板のペンキを塗ったり、植樹をしたりしました。また、ご自宅で楽しんでいただくため、黒川温泉の入浴剤をまず熊本県の看護師会に送り、福岡からのお客さんも多いので福岡県の看護師会にも送り、黒川温泉にバスを走らせて下さる福岡のバスの運転手さんにも送りました。
 あとは週に1回集まって会議をして、雇用調整助成金の勉強をしたり、ECサイトを立ち上げて入浴剤や各宿のタオルなどを販売しました。合わせて、コロナ対策のマニュアル作りをしたり、各宿でガイドラインに沿ってどういった対応をしているかという共有をしています。
 6月から湯めぐりの受け入れを再開したのですが、もし感染者が出た時に連絡手段がないと困りますので、その都度名前と電話番号、出身県を書いていただき、1ヶ月程度情報を保管するということにしています。
 あと、スマホひとつで360度で温泉気分を味わえるウェブサイト「からだはおうち こころは温泉 名湯「スマホ湯」」を町が作ってくれて、メディアに取り上げられたりもしました。

postコロナを見据えたお宿のあり方

福永 コロナを経験した消費者の旅行に対する意識も少しずつ変化が生じています。世の中の流れを見ながらお宿として対応していかなければならない点もあるかと思いますが、一方でコロナを経験したからこそ、人と会うことや旅行に行くことの大切さを改めて実感している消費者も多いと思います。お宿として、変えるべきことと変えてはいけないことがあるかと思いますが、そのあたりはどのように感じていらっしゃいますか。
 また、今回のコロナをただ乗り切るだけのものとして捉えるのか、もしくは自分たちや旅行者の意識を変えるチャンスとして捉えるかで、対応も変わってくると思いますが、そのあたりについて、皆さんがお感じになられたことを教えていただきたいと思います。
武田 うちは6月13日に営業を再開して、数組しかお客様と関わる機会がなかったので、トライ&エラーを繰り返しながら色々と試していくしかないのかなと思っています。まだ何をどうしたいというのがなく、細かいことから言えば料理の出し方をどうしようかというくらいですが、食事は個室対応なのでそれほど大きく変えなければいけないというわけではありません。今、来ていただいているのは常連さんが多いので、気負わずに「どうですか」と聞きながら、調整していけたらいいかなと思っています。
奥村 私どもの宿も国の方向性が出るたびに休業期間を伸ばしていますが、5月1日まで休館と書いて貼り出していたら、地元の方の中には自粛警察のような方もいて、「ゴールデンウィークは開けるんですか。クラスターが発生したら、どう責任を取るんですか。」といったメールが送られてきました。
 スペインも入国を緩和したところ、ドイツ人が来ているというニュースもありますが、宿の営業を再開してビッフェを再開しても外国人観光客は気にせず利用するのではないかと思います。一方で日本人はどうかというと、例えば妻の友人の中には、狂牛病が発生した時から牛肉を食べなくなったという人もいますが、清潔感やルールを重視する方も多くいらっしゃいます。では、ビッフェなどを全部やめて、ワクチンができた後にもう一度戻すのかと。効率がどうというだけではなく、ビッフェが好きだから宿に泊まりに来るということもあるかと思います。私どもの施設では、食事は食事処でとる形でしたが、6月に再開してからはほぼ部屋食の対応とし、スタッフが入る回数も減らしています。しかし本来、日本の旅館は一品出すごとに従業員と会話をするから楽しいということもあると思います。
 いずれワクチンができるのであれば、変に投資せずに元に戻せるようにしておく方がいいかもしれないという気もします。リスクは計算して一応管理できるものですが、すべて対応するように投資してしまうと逆に危機対応力が落ちるのではないか、リスクが発生した際には国や行政に助けを求める方が良いのではないかという気もしています。
吉川 今後のキーワードとしては、インバウンドがカギを握っているのではと思います。Go Toキャンペーンを含め国内での施策としての後押しはありますが、国内旅行者を日本全国で取り合いしていたら、今までのような稼働が取れるかは疑問が出てくるので、インバウンドが復活するまでの間、旅館ホテルの経営の仕方が大きく変わってくるのではないかと思っています。
 今までの旅館ホテルの経営スタイルは、お客さんをたくさん入れて毎日満室にして、365日営業をするという形でしたが、それができないとわかったなら、違う損益分岐点を発見して運営していかなければいけないのではと思っています。ただ、先が見えない部分もあるので、そうしながら国内・海外のシェアをとっていければと思います。
 ガイドラインは当館でもとても悩んだ問題で、武田さんがおっしゃったように、うちもこの時期にお越しいただいていたのはリピーターのお客様です。体温測定やアルコール消毒などの対応は全部しましたが、ガイドラインにあるような料理は下膳してはいけないとか、手袋をはめて料理を出すといった点については、社内でも協議した結果、お客様にお尋ねして、お客様に委ねる形でいいのではないかということになりました。「手袋をつけて料理を提供できますし、一度に料理をお出しすることもできますが、いかがなさいますか」と。ある程度お客様に委ね、どうやってうちのカラーを潰さずに営業していけるかに重きを置きました。
 また、うちは新卒のリクルート活動に力を入れていますが、3月からZoomを使って企業説明会や面接をしました。すると、日本全国から応募が来ました。地元の会議室を借りたり、大手の合同説明会に参加していた昨年までは、ほとんど東海からしか参加がなかったのが、北海道から沖縄まで非常に優秀な学生の登録がありました。今までは地元だからということで来ていた学生が多かったのですが、「旅館で働きたい」という学生がコンタクトしてくれるようになり、非常にいいツールだと受け止めています。
 また、コロナ禍では情報が命でしたので、このツールを使うことで、各旅館の仲間たちといち早く情報共有でき、自分自身にとってすごく勉強になりました。今後もこうした情報共有を皆さんとして、会社や地域に還元していきたいと思います。
冨永 先ほどお話ししたように、私たちの温泉地は観光地とは思っていません。元々、国際的な生活型の保養温泉地を目指しているので、今一度、原点回帰をテーマに挙げています。何よりも遊ぶことや楽しむことが目的ではなく、心と身体の保養をしに来てくださいと。それに見合った宿のあり方を一から勉強していこうということで、話し合っています。それには安心安全が一番になるので、地域版HACCPや、食や温泉の安全を一から築いていこうと考えています。
 Postコロナの宿のあり方ですが、誰かに言われたからとか、県や国がこうしたからそれに則るのではなく、経営者が自分で考えなさいということですよね。まずは自分の施設、自分の地域から感染者を出さない、拡散させないという目的を明確にして、それに向けて何ができるのか、経営者がそれぞれ一生懸命考えることであり、それもできない経営者は旅館を経営するべきではないのかもしれません。ただし、もしも感染者が出た時は、一丸となってみんなで考えていこうということだと思います。
福永 由布院温泉では4月中旬くらいに由布院観光の歴史を聞きながらまち歩きをする研修プログラムをされていましたが、それも原点回帰という想いから始められたものですか。
冨永 そうですね。もしかしたら今まではインバウンドが増えすぎて少し異常だったのかもしれないです。インバウンドが増えるとそれを目的に外資、別の国の資本がまちに入り込み、小さな民泊がたくさん生まれ、まちの風景がどんどん変わってきました。風景だけではなく、風情や風土、風習まで変わってきて、「由布院の風」自体が変わってきたということに対する危機感が長いことありました。
 先日、IATA(国際航空運送協会)が国際線需要が2019年の水準に回復するのは2024年頃になるという見通しを発表しましたが、もう一度、原点に戻る時かと思っています。とはいえ、僕らの仲間から倒産者は出してはいけません。幸か不幸か小規模旅館が点在しているまちなので、みんなで知恵を出し合って汗を流してやっていきたいと思います。
田村 うちも小規模旅館で、100年以上、食事を部屋出しで提供してきましたので、こういう事態になっても特別に変えることもなく、今は入館を半分に制限して、空いたお部屋に先に用意するという形を取っています。
 草津も観光地である前に湯治場でもあり、湯治場の温泉宿の役割は、こういったことがあっても大きくは変わっていかないだろうと思います。1泊2食を提供し、なるべく長い間安心安全に滞在していただくことを各お宿が考えて決めることなのかなと思います。
 ガイドラインに沿うのは大事ですが、食事の提供の仕方などはうちのような小規模、大規模旅館それぞれの方法があるので、各お宿がポリシーと責任を持って対策を講じていれば、最終的に選ぶのはお客様かと思います。お客様の感覚も、また時が経てば戻っていくのではないかとも思っています。
 インバウンドに関しては、うちの旅館も多かった時期がありましたが、かといって英語表記に変えたり食事を変えることはなく、うちのスタイルで泊まりたい外国人のお客様に来ていただくことだと思いますし、そういったことは今後も大きく変わらないと思います。ただ、より一層、安心安全に対する意識は高くなったかなと思います。
大西 コロナに関しては大変な第2波、第3波が来なければ、パラダイムシフトにはならないと言われていますが、現状の社会変化では大きく人間の価値観が変わるというより、もともと進むべき方向に進んでいるものが多いと思います。特に働き方であったり、日常生活のオンライン化は大きく変わったと思います。
 今回、オンライン面接をやってみたら、全国から応募が来たことに驚きました。「鶴雅なんて聞いたこともないでしょう」というと、「聞いたことはないが企業理念や地域貢献などについて記事を見て知って参加した」ということで、半数近くが道外の方でした。人材の多様性を高めるためにも、エンゲージメントの強い社員を採用するにしても、今後も続けていきたいです。
 あとは世の中の流れとして、動画に対する抵抗がなくなっていると感じるので、サービスに使っていけると思います。色々な自動化の取り組みが後押しされるかなと。お客様もサービスする側も「おもてなしは人の手でやるべき」と思っていたことが生産性を高める上で足かせになっていたところがありますが、今はコロナだから仕方ないよねという感覚で変えられることも多いと思います。奥村さんがおっしゃった顔認識のようなものも抵抗感がなくなるでしょう。
 感染対策のための設備を導入する際に、北海道庁や経済産業局から補助金を受けられるのですが、今AI付きのサーモグラフィの導入を検討しています。これを機にAIの機能を勉強しており、デジタルトランスフォーメーションの良いきっかけになったらと思います。
福永 みなさんお互いに聞いてみたいことがありましたらぜひお願いします。
大西 奥村さんのお宿で実施された顔認証は、客室に入ったり、館内で消費するのに使えるのですね。
奥村 まだ全部はできてないのですが、お客様の満足度の向上と業務の効率化を両立する「おもてなしマスター」というのを作ろうと思っています。特定の範囲の中で、解錠や決済、チェックイン・アウトを顔認証でできるという仕組みです。ただ、旅館や旅館系ホテルは建て増しをしたりしていて、工場のように作られていないので、ロボットなどによる自動化が難しいです。また、スタッフの作業を連動させようとすると、中規模・大型旅館だと働いている人数も多いので、課金的な端末を持たせるとずっとお金を払ってしまうようなことが起こります。その館でやっているオペレーションを変えずに何をどう自動化するかが重要で、インターフェースはおもてなしで、ワークウェアは最先端のデジタル化をするというイメージを目指しています。
 もう一つは完成品を納品されるのではなく、うちで実験していいですよということで、顔認証のほかに指認証の実験も行いましたし、ドアメーカーと連携して、顔認証のカメラがついた袖ドアの実験もうちの旅館でやっています。あとは売店には、私の妻が作った着物を着て、ちょんまげを結ったロボット(NTTのSota)がいて人感センサーで挨拶したりしてます。

 私から大西さんにお聞きしたいのですが、ビッフェは今後どうなると思いますか。日本の宿がビッフェではない方向に振ってしまって本当にいいのかなと。外国人旅行者が戻ってきた時に、もう一度設備を変えて、オペレーションもスタッフの数も変えるというのはどうなのかと思っています。
大西 弊社でも意見が分かれていて、ワクチン等の登場でいつかは需要が戻ってくると思うのですが、これを機にビッフェありきの鶴雅から脱却した方が良いのではないかという声もあります。
 旅館業界でもビッフェをやっていきたいという方も多いでしょうし、お客様のニーズも高いので、どこかで元通りになるとは思いますが、今はできる対策を実施しながらやっていくしかないなと思っています。
奥村 うちも毎年夏にビアバイキングをやっていて、コロナを機にやめることになったのですが、原理的にはビッフェを前提としたビアホールみたいなものも全部なしになってくるわけですよね。しかし、なくしてしまっていいのかと思っています。
山下(阿寒観光協会まちづくり推進機構専務理事) 観光協会などの会費の問題があると思っていて、我々も今年度は2割減免と決めています。皆さんはどのようにされるご予定か、教えていただければと思います。
吉川 三重県ではほとんどのところが会費を減免していて、半額もしくはほとんどなしで動いており、致し方ないかなと思います。全旅連でも今期は会費なしという形になります。地域の財力の問題もあるので、そこは地域で考えることで、会費を取るなら取ってしっかり行動していけばいいのかなと思います。
奥村 道後温泉はかつて財産区で、その後、松山市に合併されたので、道後温泉旅館協同組合自体が府庁のようなところがあります。毎年定額の組合費も安く、入湯税の全面代理徴収を行っているので、その利用人数に合わせた金額を収めています。
武田 黒川温泉は組合費を3割減免にしました。ただし、別に集めている広告費は上げました。
田村 群馬県でも草津町でも青年部の会費については特に減額はしていません。ただ、徴収時期を少しずらしており、まだ徴収していません。群馬県についても0か100かという会議をしましたが、会員数も少ない中、各々の地域で既に計上している状況もありますので、このままいこうということになりました。
湯本(草津温泉観光協会理事) 草津温泉旅館協同組合については、今のところ特に減免という話にはなっていません。ただ群馬県旅館ホテル生活衛生同業組合については、今年は徴収しないことにしたそうです。県の組合は販売事業があり、割と好調に回っているようですので、そこでなんとかカバーできると思います。草津の場合は事務局で人を抱えているので、今のところ会費に関しては旅館組合も観光協会も通常通りの予定です。
福永 ちなみに阿寒の場合は、入湯税のかさ上げがあると思いますが、それを今回の緊急対策にあてるといった動きはありますか。(注1)
山下 入湯税そのものが前年比75%減くらいになるとみています。通常は嵩上げ分として4500万円くらい徴収できる予定の税収が1000万円を切るのではという状況ですので、取り組みの優先順位をどうつけていくかが課題です。また、釧路市との関係で組織の運営費に使ってはいけないことになっていて、減免の部分を埋める形にはならないです。
福永 鳥羽市では入湯税の30%を鳥羽市温泉振興会に、70%を鳥羽市観光振興基金として積み立てる形にしていますが、入湯税の使途などは何か議論されていらっしゃるのでしょうか。(注2)
吉川 今後、鳥羽市観光振興基金の使い方を、鳥羽市温泉振興会と市で協議していこうというくらいですね。親会でどこまで進んでいるかわかりませんが、青年部ではそういう話をぶつけていこうかというところです。
福永 鳥羽市の方にうかがったところ、自主財源があることで、国の助成金などがおりる前の早い段階で施策が打てたという話もあり、組織と連動する財源の有無についても重要だなと思いました。
 最後に、今日のお話の中で気づかれたことや共有したい想いなどあれば、ご発言いただければと思います。
吉川 私が出向している全旅連青年部に行政のアドバイザーのような方がいて、その方から国の話を色々と聞くことができるのですが、国は補正予算を組んだりして多くの予算をつけてはいるものの、県の方で使い方がわからず、断っているところがたくさんあるそうです。そういったところを動かすには、我々業界が声を上げて、県に向けてどんどんお金を取りに行かないと動かないという地域性もあると思います。そこはみんなで情報共有して、この地域ではこんなことをやってるので、うちの県でもやってほしいという形で要望していけたらと思います。
 withコロナに加えて、with行政というくらいの勢いで手を組んでやっていかなければ今回の危機は乗り切れないと思うので、ぜひ皆さんと声を上げて、他の地域も見ながら色々なことにチャレンジしていけたらと思いました。
福永 自治体による違いや差は、横のつながりがあって初めてわかることなので、温泉まちづくり研究会でも引き続き、情報交換をしていけたらと思います。議論は尽きませんが、今日はお忙しい中、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。







 

 

 
 

 

 

大西 希(おおにし・のぞみ)
鶴雅ホールディングス取締役

 

 
 

 

 

田村公佑(たむら・こうすけ)
旅館たむら専務
草津温泉旅館協同組合青年部 次期部長

 

 
 

 

 

吉川好信(よしかわ・よしのぶ)
株式会社サン浦島常務
鳥羽市温泉振興会会員
同会ゆーわく倶楽部部員

 

 
 
 
 

 

當谷逸郎(とうたに・いちろう)
元湯 龍泉閣代表取締役
有馬温泉旅館協同組合理事長

 

 
 
 
 

 

奥村敏仁(おくむら・としひと)
大和屋本店代表取締役
道後温泉旅館協同組合副理事長

 

 
 
 
 

 

冨永希一(とみなが・きいち)
由布院いよとみ代表取締役社長
由布院温泉旅館組合組合長

 

 
 
 
 

 

武田亮介(たけだ・りょうすけ)
やまびこ旅館専務
黒川温泉観光旅館協同組合代表理事

 

 
 
 
 

 

コーディネーター
福永香織
(公益財団法人日本交通公社 観光政策研究部 主任研究員)

 

 
 
 
 

 

コーディネーター
山田雄一
(同・観光政策研究部長)

<注>
注1:阿寒湖温泉における入湯税超過課税導入の詳細については以下を参照
「観光文化 238号 特集:インバウンド時代の観光振興財源」
https://xb069601.xbiz.jp/wp-content/uploads/2018/07/bunka238-05.pdf

注2:鳥羽市の入湯税の詳細については以下を参照
「2013年度 温泉まちづくり研究会 ディスカッション記録」
https://xb069601.xbiz.jp/wp-content/uploads/2016/07/onmachi2013.pdf