旅の図書館では毎回テーマに沿った館内展示を行なっています。
日本のオリンピックへの参加は1912年の第5回ストックホルム大会からで、1964(昭和39)年に開催された第18回東京大会は、アジア初でもありました。
戦後日本の高度成長の原動力ともなったこの大会には、1940(昭和15)年に第12回東京大会の開催が予定されながら、戦争により“幻”に終わった前史があることはよく知られています。この第12回夏季オリンピック東京大会は、第5回冬季オリンピック札幌大会、日本万国博覧会とともに、日中戦争によって国際情勢が悪化するなか、明治政府が定めた紀元二千六百年記念事業として位置付けられ、日本のアピールと国際理解を促す絶好の機会として準備が進められながら、開催中止(返上)または延期に終わりました。これらの経緯・背景については、第12回展示「紀元2600年と1930年代の観光政策―オリンピックとツーリズム―」(2020年4-9月)でご紹介しました。
一方で、同じ40年に、“幻のオリンピック”に代わって、アジアのオリンピックともいうべき国際スポーツ競技大会が日本で開催されたことは、あまり知られていません。それが紀元二千六百年を奉祝する祭典の一つとして開催された「東亜競技大会」です。
この「東亜競技大会」には、さらにその前史として、1913年に誕生した「極東選手権競技大会」があります。日本、フィリピン、中国を中心に、当初は「東洋(極東)オリンピック」ともいわれたアジアの国際スポーツ大会で、「満州国参加問題」を機に1934年の第10回大会を最後に消滅しました。「東亜競技大会」は、歴史的な経緯およびアジアの国際スポーツ大会という点で、この極東大会の延線上にあったといえます。
本企画展では、1940年の“幻のオリンピック“に代わって開催された「東亜競技大会」と、その前史としての「極東選手権競技大会」を取り上げ紹介します。
期間 | 2021年6~9月 |
場所 | 1F古書ギャラリー |
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